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池浦 広美*; 関口 哲弘
Japanese Journal of Applied Physics, 58(SI), p.SIIC04_1 - SIIC04_4, 2019/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Applied)多結晶クロロアルミニウムフタロシアニン試料の非占有伝導帯の電子構造をCl K殻吸収端近傍のX線吸収分光法(XAS)により調べた。XASスペクトルは全電子収量(TEY)および部分オージェ電子収量(AEY)モードにより測定した。部分AEYスペクトルは光子エネルギーの関数として通常オージェ収量およびスペクテーターCl KLLオージェ収量をモニターし測定した。TEYスペクトルはデコンボリューションできないブロードなピーク形状を示した。一方、通常AEYスペクトルおよびスペクテーターAEYスペクトルにおいてCl 1s*(Cl-Al)遷移は2成分にピーク分割された。これら競合する2つの過程として内殻正孔に局在した内殻励起子および内殻正孔を有しない非局在化した伝導帯が関与すると解釈された。Cl K-edge XASにおいて伝導帯に起因するピークが観測されたことから、伝導帯形成にCl配位子の軸方向が関与していると推察された。実験結果はオリゴマー鎖状(-Al-Cl-Al-)に伝導帯電子移動が起こる可能性があることを示唆した。
関口 広美*; 関口 哲弘
Atomic Collision Research in Japan, (23), p.82 - 83, 1997/00
光刺激イオン脱離収量の内殻吸収端微細構造(PSID-NEXAFS)スペクトルは特定の表面吸着種の空軌道の性質等の局所的情報を与えると期待されている。本研究においては、Si基板に単分子吸着したDCOO吸着種からの酸素内殻励起領域におけるPSID-NEXAFSを高分解能軟X線分光器を用いて測定した。結合エネルギーの化学シフトを利用して、二種類の酸素を選択して内殻励起し、それぞれの励起で起こる脱離反応収量の違いを調べた。ヒドロキシ基酸素(-O-)の励起によりCDOイオン収量が増加し、カルボニル基酸素(C=O)の励起ではCD収量が増加した。このことから選択励起された原子の近傍で優先的に結合切断及び脱離が起こることが明らかにされた。また、O収量はカルボニル基酸素の励起で増加した。この結果は、ヒドロキシ酸素が基板のSi原子に直接結合しているため励起エネルギーが基板に散逸したためと考えられる。
関口 哲弘; 関口 広美*; 田中 健一郎*
Surface Science, 390(1-3), p.199 - 203, 1997/00
被引用回数:4 パーセンタイル:33.04(Chemistry, Physical)放射光励起によって引き起こされるイオン脱離反応は表面反応の解明や表面状態および構造に関する知見を与えるものとして近年注目を集めている。イオン脱離反応の機構をより深く理解するためには、励起により表面上に生成する多電荷イオン中間体をなるべく直接的に観測することが望ましい。本研究は気相の光化学反応過程を調べるのによく用いられる手法である光イオン・光イオン・コインシデンス分光法を表面反応に応用することにより多電荷イオン中間体の反応挙動を調べたものである。HO/Si(100),DCOOD/Si(100)DCOOCH multilayer試料の結果を示すとともに、各々の結果を比較した。その結果(1)コインシデンスの励起スペクトルは多電子励起領域で大きな増加を示すこと、(2)これら励起スペクトルの立上がり敷居エネルギーは吸着種と基板(又は周囲吸着種)との相互作用を反映して、各々大きく異なること、等が見出された。
関口 広美*; 関口 哲弘; 田中 健一郎*
Photon Factory Activity Report, (14), P. 18, 1996/00
放射光を利用した光刺激イオン脱離収量スペクトルは特定の表面吸着種の空軌道の性質や内殻電子軌道といった局所的情報を提供すると期待されている。本研究においては、Si基板に単分子吸着したDCO1)O2)吸着種のカルボニル酸素(O1))とヒドロキシ酸素(O2))を化学シフトの違いにより選択して内殻励起できることを利用してそれぞれの励起で起こる脱離反応収量の違いを調べた。O(C-O2))(C-O2))励起ではCPOイオン収量が増加し、O(C=O1))(C-O2))励起ではCD収量が増加した。また、O収量はO(C=O1))(C=O1))及びRydbergの励起で増加する等の結果が得られた。選択励起された原子の近傍で優先的に結合切断が起こり脱離することが見出された。